居室計算詳細

居室計算詳細

階避難安全検証法は、居室からの避難と、階全体からの避難の2つの段階に分けて安全に避難できるかを検証します。
ここではまず居室避難の計算方法の詳細について説明します。
階避難安全検証を行う階のすべての居室での火災を想定し、各居室ごとに火災により発生する煙・ガスによって避難が不可能になるまでに、室外へ安全に避難できることを検証します。

(1)居室検証全体の流れ

居室避難検証の流れ

検証を行うすべての居室に対し、
(1)居室の避難開始時間
(2)居室の出口に達するまでの歩行時間
(3)居室の出口の通過に要する時間
(4)居室の煙降下時間

を算定し、煙降下時間より早く避難終了(避難開始時間+歩行時間+扉通過時間)が可能か検証します。

(2)計算の手順

計算対象とする居室の抽出

階避難安全検証を行う階から居室をすべて抽出します。

居室の避難開始時間の算定

計算を行う居室の床面積より下記の式を用いて算定します。その居室を通らなければ避難できない室がある場合は、その室の床面積も含めて算定します。

Aareaの範囲

Aarea=A1+A2+A3

居室A1の避難開始時間を計算する場合、当該居室等の部分には居室A1だけでなく、居室A2と居室A3が含まれる。
尚、居室A2と居室A3についても、各々の居室ごとに避難安全を検証する必要がある。

Aareaの範囲

Aarea=A1+A2

居室A1の避難開始時間を算定する場合、居室A1を通過しないでも避難できる経路のある居室A3は当該居室等の部分に含まれない。

居室の出口に達するまでの歩行時間の算定

計算を行う居室(およびその居室を通らなければ避難できない室)内の各部分から居室の出口のひとつまでの歩行距離を基に、その居室の歩行時間(歩行距離÷歩行速度)の最大値を求めます。歩行速度は居室内の部分によって用途が異なる場合には注意が必要ですが、居室内の用途が単一の場合は、最も長い歩行距離を歩行速度で割った歩行時間が、その居室の歩行時間となります。

歩行ルート算出の方法

Aareaの範囲

居室内居室を含めて、最長歩行経路を求める。注意点は、計算に採用する数値は距離ではなく時間である。

Aareaの範囲

複数の出口がある場合は、直角2等分線により各扉の負担エリアを決めた上で、歩行経路を引く。

歩行速度について

歩行速度は、室の用途によって変化します。

利用者がその建物をよく知っている。
  • オフィス
  • 学校
  • 工場
  • 倉庫
など
78m/分
(1.3m/秒)
不特定の人が利用。
  • 店舗
  • ショールーム
  • 飲食店
  • 図書館
  • 社寺、仏閣
  • カラオケ
など
60m/分
(1.0m/秒)
就寝用途がある。
  • 集合住宅
  • ホテル
  • 寮、寄宿舎
など
60m/分
(1.0m/秒)
劇場・その他
  • 劇場
  • 映画館
  • 集会場
  • 宴会場
など
30m/分
(0.5m/秒)
上り 27m/分
下り 36m/分

居室の出口の通過に要する時間の算定

居室(およびその居室を通らなければ避難できない室)が、あらかじめ居室の出口の前に滞留している状態から、全員が出口を通過するまでに要する時間(滞留の解消時間)を求めます。
居室(およびその居室を通らなければ避難できない室)の在室者人数を、出口の有効幅に有効流動係数を掛け合わせた時間あたりの出口の通過性能で割って求めます。

在室者人数は告示で定められた在館者密度を用いて居室面積から算定します。

在館者密度について

告示に示される在館者密度(抜粋)を示します。
告示に示されない用途の場合は、居室の用途上の特徴を考慮して判断することになりますが、何らかの根拠を示して告示に示される在館者密度のいずれかに当てはめる必要があります。ただし実際の在館者数とあまりにかけ離れている場合などは、審査者との事前協議により実際の在館者数に近い人数とすることができる場合があります。

居室の種類 在館者密度 その他これらに類するものの例
住宅の居室 0.06人/m2 ・寄宿舎の居室
事務室(事務室付属会議室)  0.125人/m2 ・学校の職員室
・マーケットの厨房
・リフレッシュコーナー
・応接室
教室 0.7人/m2 ・小規模な会犠室
物販店舗 0.5人/m2 ・遊技場
・ゲームセンター
物販店舗の通路部分 0.25人/m2 ・ショッピングモールの通路部分
飲食室 0.7人/m2 ・料理店
・喫茶店
劇場 1.5人/m2 ・宴会場
・クラブハウス
展示室その他 0.5人/m2 ・図書館
・博物館

流動係数Neffについて

流動係数Neffは単位時間あたりに単位幅を通過できる人数を示します。
避難先の滞留面積や合流人数を評価し決定されます。
避難先に余裕が十分ある場合、Neffは最大値の90(人/分・m)となります。

避難経路等の部分 避難経路等の部分の収容可能人数 有効流動係数
当該居室の出口が直接地上に通ずる場合 (避難先は外部で余裕がある)
その他の場合
(避難者全員が避難先におさまる)
 
(避難者全員が避難先におさまらない)
Neff 有効流動係数(人/分・m)
Aco 当該避難経路等の部分の各部分ごとの床面積(m2)
an 避難経路等の部分の区分に応じて定める1人当たりの必要滞留面積(m2/人)[廊下0.3 階段室0.25 階段附室・バルコニー0.2]
p 在館者密度(人/m2)
Aload 避難経路等の部分を通らなければ避難することができない建築物の部分ごとの床面積(m2)
Bneck 当該居室の出口の幅又は避難経路等の部分の出口(直通階段又は地上に通ずるものに限る。)の幅のうちどちらか小さい方のもの(m)
Broom 当該居室の出口の幅(m)
Bload 避難経路等の部分を通らなければ避難することができない建築物の部分の当該避難経路等の部分に面する出口幅の合計(m)

有効出口幅Beffについて

居室に設置される最大幅の扉近傍で火災が発生したことを想定し、出火から居室内の避難者が扉に到達するまでの時間と、火災の拡大を比較して避難に利用可能な扉幅を計算します。

火災の拡大と避難 有効出口蝠

(火災の拡大より扉到達が早い)

(扉到達より火災の拡大が早い)
Beff 有効出口幅(単位 m)
Broom 当該居室の出口の幅(m)
αm 当該居室の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げの種類に応じて定まる値(内装の火災成長率)
不燃材料 0.0035
準不燃材料 0.014
難燃材料 0.056
その他材料 0.35
treach 在室者が当該居室の出口の一に至る時間(分)

居室の避難終了時間の算定

居室の避難開始時間・居室の出口に達するまでの歩行時間・居室の出口の通過に要する時間を合計し、計算を行う居室の避難終了時間とします。

居室の煙降下時間の算定

計算を行う居室の形態から避難上支障のある高さ(床から1.8m)より上部にある蓄煙可能体積(Aroom×(Hroom-1.8))、想定される火災で発生する煙発生量(Vs)、設置されている排煙設備による有効排煙量(Ve)から、煙が避難上支障のある高さに達するまでの時間を算定します。

居室避難安全性能の検証

居室の避難終了時間が居室の煙降下時間を超えないことを確かめます。
この計算をすべての計算対象室について行います。

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