避難安全検証法とは

避難安全検証法について

避難安全検証法の概要や確認申請の流れなどについて概略を説明します。

(1)概要

避難安全検証法では、火災により発生する煙・ガス等によって在館者が安全に避難できなくなるまでの時間を定められた計算式にのっとって算出し、検証を行います。
また、防災評定で用いられた避難グラフによる滞留評価は行わず、避難者は一様に分散しながら各避難出口に向かうものとして流動係数を避難先(直通階段)の滞留によって変化させ、計算だけで評価します。

避難安全検証法の導入により、それまでの仕様規定による設計方法を「ルートA」、避難安全検証法を用いた性能規定は「ルートB」と呼ばれるようになりました。
「ルートB」には、階避難安全検証法と全館避難安全検証法があり、それぞれ計算方法が告示(1441・1442号)に示されています。
一方、告示で定められた計算式以外の方法で避難安全性能を確認する方法を「ルートC」と呼びます。この場合は、国土交通省の認定を受けることが必要です。

ここでは、一般的に使われることの多い「ルートB」について解説していきます。

(2)確認申請の流れ

避難安全検証法(ルートB)による設計での確認申請は、下図に示すように、指定確認検査機関・建築主事による確認となります。

(3)避難安全検証法(告示1441・1442号)の適用範囲

主要構造部の制限

建築物、または、階の避難安全性能は、火災を想定した時に、全ての避難者が直通階段、または、地上への避難を終了するまで、煙や有毒ガスにより危険な状態にならないことを確認します。そのためには、建物そのものが逃げ出す前に燃えてしまう、または、耐力を失うことにより避難できなくなる等の危険性がないこと、すなわち、主要構造部に一定の防火・耐火性能を有することが必要条件となります。従って、避難安全性能の検証を行うことが可能な建築物は、主要構造部が準耐火構造(令第108条の3に定める技術的基準に適合するものを含む)であるか又は不燃材料であるものに限定されます。

避難安全検証法の制約

告示で定められた避難安全検証法は簡易なものであり、その適用には具体的な計算法の前提条件を満たさなければなりません。避難行動に関しては、基本的には自力で避難できることを前提に避難に要する時間の計算方法がつくられています。従って、例えば、病院、診療所及び児童福祉施設等のように、自力で避難することが困難であると考えられる用途の階、または建築物に対しては、階避難安全検証法・全館避難安全検証法ともに適用対象外とされています。実際、避難安全検証法の告示には、このような用途に利用される建築物や居室に対応する歩行速度の値が与えられていないため、歩行時間を計算することができません。
ただし、詳細な予測手法を利用すれば、自力避難できない人も含めた避難や救助の状況を予測することも可能です。このような用途の建築物で避難安全性能を有することを検証する場合には、高度な検証法を利用することにより、国土交通大臣の認定を受けなければなりません(ルートCの適用)。

また、排煙設備による有効排煙量の計算についても、防煙区画の面積が1,500m2以内であることが条件で、この制限を越えるものは、国土交通大臣の認定を受けなければなりません(ルートCの適用)。

(4)階避難安全検証法と全館避難安全検証法

避難安全検証は、適用する対象が建物の1つのフロアなのか(階避難安全検証法)、建物全体なのか(全館避難安全検証法)によって2つの方法が定められています。それぞれ、階避難安全検証は「建築基準法施行令第129条」に、全館避難安全検証は「建築基準法施行令第129条の2」に定められています。

階避難安全検証法

以下の2つのステップに分け、階避難安全性能を検証します。

第1ステップ(居室避難計算)

火災室となる居室において、在室者(当該居室を通らなければ避難できない人を含む。)が居室の外へ安全に避難できることを確かめます。具体的には、検証を行う階にある居室毎に、在室者のすべてが居室からの避難を終了するまでに要する時間を求めます。次に、火災からの煙やガスが避難上支障のある高さ(h=1,800mm)まで降下するのに要する時間を求め、居室の避難終了時間が煙の降下時間を超えないことを確認します。

第2ステップ(階避難計算)

火災室以外の室も考えて、検証を行う階に存する者(当該階を通らなければ避難できない人を含む。)がその階から安全に避難できることを確かめます。居室からの避難安全が確保されていても、火災室からの煙が避難経路となる廊下に拡大すると、火災室以外の居室からの避難が困難になるおそれがあるためです。まず、想定される火災室ごとに、階に存する者の全てが直通階段へ避難を終了するまでに要する時間を求めます。次に、避難経路などの部分において、煙やガスが避難上支障のある高さまで降下するのに要する時間を求め、階の避難終了時間が煙の降下時間を超えないことを確認します。全ての火災室について、階の避難終了時間が煙の降下時間を超えないことを確認すれば検証は終了です。

全館避難安全検証法

全館避難安全検証法は、全館避難安全性能があることを2つのステップに分けて検証します。

第1ステップ(居室避難計算及び階避難計算)
検証を行う建物全ての階について階避難安全性能を有していることを確かめます。すなわち、居室ごとに居室の避難終了時間が煙の降下時間を超えないこと、火災室ごとに階からの避難終了時間が煙の降下時間を超えないことを確かめます。
第2ステップ(全館避難計算)
建築物全体からの避難について検討を行います。各階で階避難安全性能が確保されていても、火災室からの煙が直通階段や他の階に流入すると、火災室のある階以外の階からの避難が困難になるおそれがあります。そこで、火災の発生した室以外の人も含めて建築物内にいる全ての人が地上まで安全に避難できることを確かめます。想定される火災室ごとに、在館者の全ての人が地上(建物の外部)へ避難終了するまでに要する時間を求め、階段の部分又は火災室のある階より上の階へ煙が流入するまでに要する時間を求めます。全館の避難終了時間が煙の流入時間を超えないことを確認します。全ての火災室について、全館の避難終了時間が煙の流入時間を超えないことを確認すれば検証は終了です。

(5)避難安全検証法により適用除外される避難関係規定

建築物、または、階が、避難安全性能を有するものであることについて、避難安全検証法により確かめられたもの、または、大臣の認定を受けたものについては、現行の避難安全関係規定のうち一部の規定は適用されません。

項 目 規定の概要 階避難安全性能
を有する
全館避難安全性能
を有する
防火区画 112 5 11階以上の100m2区画 -
9 竪穴区画 -
12 異種用途区画 -
13 異種用途区画 -
避難施設 119   廊下の幅
120   直通階段までの歩行距離
123 1 避難階段の構造
第1号 耐火構造の壁
第6号 防火設備
-
2 屋外避難階段の構造
第2号 防火設備
-
3 特別避難階段の構造
第1号 附室の設置
第11号 附室などの面積
第9号 防火設備
第2号 耐火構造の壁 -
124 1 物品販売業を営む店舗における避難階段等の幅
第2号 階段への出口
-
第1号 避難階段等の幅
屋外への出口 125 1 屋外への出口までの歩行距離 -
3 物品販売業を営む店舗における屋外への出口幅 -
排煙設備 126-2   排煙設備の設置
126-3   排煙設備の構造
内装制限 128-5   特殊建築物の内装(第2、6、7項および階段に係る規定を除く)自動車車庫等、調理室等

(6)検証方法の適用関係

階避難安全性能は、各階=フロアごとに異なるルート(ルートA・B・C)を利用することが可能です。あるフロアには告示で定められた階避難安全検証法を利用(ルートB)し、別のフロアには大臣の認定を受ける(ルートC)というように、1つの建築物の中で異なる検証方法で確かめられたフロアを混在させることができます。
しかし、全館避難安全性能は、建築物の全ての部分について同一の検証方法で確かめる必要があります。例えば、告示の全館避難安全検証法を利用する場合、各フロアについて階避難安全検証法により検証しなければなりません。また、全館避難安全性能を有するものであることについて大臣の認定を受ける(ルートC)場合には、一部の階をルートA、あるいはルートBで検証することはできません。
また、1フロア内で、ルートAとルートBあるいはルートCを混在して使用することもできません。検証法はフロア単位で適用されます。

図の様に、一つの建物に複数のルートを適用して設計することが可能です。

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