| (1)概要
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平成12年の建築基準法の性能基準導入前までの避難関係規定は、一般的な建築形態を想定し建物内で火災が起こった際に在館者が安全に避難階段などを経由して建物外へ避難するための建築物の性能を、防火区画の面積や、廊下等の避難施設の幅員あるいは内装材の不燃性能といった様々な項目について画一的、仕様書的に規定するものでした。
ところが、近年、火災安全工学などの発展により、建物内で火災が発生した際に人がどのように行動するのか、あるいは煙やガスがどのように伝播するのかを予測することが可能になってきました。そこで平成12年の法改正により、建築物の実際の形態を考慮し火災時の煙やガスの広がりと在館者の避難行動を比較し建築物の安全性を検証する方法が「避難安全検証法」として建築基準法の体系に導入されました。
まず、避難関係規定の中で避難安全検証によっても適用除外とはならない項目について、以下に解説します。 |
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| (2)避難安全性能が確認できても適用除外できない仕様規定 |
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避難安全検証法によって安全性が確認されたことにより全ての避難関係規定が適用除外できるということではなく、2以上の直通階段の設置や歩行経路の重複区間の長さ制限などの規定、また、避難安全の確保以外に消防活動の支援などの観点から規制されている規定などのように、避難安全検証法などにより安全性の検証が行えないその他の規定については、従来通りに適用されます。
以下は、主な適用除外できない仕様規定です。 |
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・2以上の直通階段の設置 |
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火災は建物内のどの部分においても多かれ少なかれ発生する危険性があるものと考え、どの部分からでも最低2方向以上への避難が可能であるように避難経路を計画することが原則となります。
避難安全検証法によって、「物品販売業を営む店舗における避難階段等の幅」の規定は適用除外とすることはできるので、物品販売業を営む店舗において直通階段の数を減らすことは可能ですが、施行令121条に定められた「2以上の直通階段の設置」を除外することはできません。 |
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・歩行経路の重複区間の長さ制限 |
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建築基準法施行令121条3項では、居室の各部分から2つの階段に至る通常の歩行経路のすべてに共通の重複区間があるときには、その重複区間の長さは、規定された歩行距離の2分の1をこえてはならない、とされています。避難安全検証法によってもこの制限を除外することはできないので、この規定に適合することはもちろん、行き止まり部分をなくすなど、極力重複区間が短くなるよう計画することが望まれます。
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・面積区画 |
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全館避難安全性能の検証を行うことにより、11階以上の100m2区画、竪穴区画、異種用途区画を適用除外にすることはできますが、面積区画を除外することはできません。
面積区画とは、同一階での平面的な延焼拡大を限定する目的で一定の床面積ごとに設置される防火区画のことをいいます。
面積区画は火災規模を限定し、損害の最小化を図るばかりでなく避難や消防活動の安全確保にも重要となります。面積区画の大きさは建築物の構造、階数、内装の仕様などに基づいて次表のように規定されています。 |
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対象建築物
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区画面積等
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区画の構造
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緩和その他の特例 |
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床・壁
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防火設備
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主要構造部が耐火構造
主要構造部が準耐火構造
(施行令112条1項) |
床面積<=1,500m2 |
準耐火構造
(1時間以上)
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特定防火設備
※1 |
1.劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場の客席・体育館・工場等で用途上やむを得ないものは除外
2.階段室・昇降機の昇降路(乗降ロビーを含む)で準耐火構造(1時間以上)の床・壁又は特定防火設備で区画した部分は除外
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法27条2項、62条1項に基づく準耐火建築物(不燃構造又は1時間準耐を除く)
(施行令112条2項) |
床面積<=500m2 |
同上 |
同上 |
1.体育館・工場等で天井(ない場合には屋根)・壁の内装を準不燃材料とした部分は除外
2.上欄の2.と同じ
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| 主要間仕切壁 |
準耐火構造 |
-
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法21条1項ただし書、27条1項ただし書、27条2項、62条1項に基づき主要構造部を準耐火構造(1時間以上)とした建築物
法27条2項、62条1項に基づく準耐火建築物(不燃構造)
(施行令112条3項)
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床面積<=1,000m2 |
準耐火構造
(1時間以上)
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特定防火設備
※1 |
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| ※1 常時開放式の場合は、煙・熱感知器連動、温度ヒューズ連動。ただし、右欄の階段室・昇降機の昇降路の場合には、煙感知器連動、かつ遮煙性能を有する構造(施行令112条14項1号ハ、告示2563号) |
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・避難階段の設置 |
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全館避難安全性能の検証を行うことにより、避難階段の壁の構造を耐火構造とする規定や階段室の出入口の防火設備に関する規定や、屋外避難階段の出入口の防火設備の規定は除外することが可能ですが、施行令122条に規定された避難階段の設置自体を除外することはできません。 |
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・特別避難階段の設置 |
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避難階段と同様に、全館避難安全性能の検証により、特別避難階段の付室の設置規定や付室あるいはバルコニーの床面積の規定は除外とされますが、施行令122条に規定された特別避難階段の設置自体は除外できません。
避難階段又は特別避難階段を設置しなければならない建築物は次表のように規定されています。 |
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建築物の用途
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階
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避難階段
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特別避難階段
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除外規定等
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(1)
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(2)以外の建築物 |
15階以上の階に通じる直通階段 |
×
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○
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左表中 ○:可 ×:不可
下記に該当する場合は左記に該当しない。
(1)主要構造部が準耐火構造であるか、又は不燃材料で造られ、5階以上の階又は地下2階以下の階の床面積の合計<=100m2(階数に算入されない塔屋部分も「階」には該当するので床面積の対象となる)
(2)主要構造部が耐火構造の建築物で床面積の合計100m2(共同住宅の住戸は、200m2)以内ごとに耐火構造の床・壁又は特定防火設備(直接外気に開放される階段室に面する換気窓で、開口面積<=0.2m2の防火設備を含む)で区画されたもの。ただし、階段室、昇降路、廊下等の部分で耐火構造の床・壁又は特定防火設備で区画されたものは除かれる。
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| 5階以上の階に通じる直通階段 |
○
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○
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| 地下2階以下に通じる直通階段 |
○
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○
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| 地下3階以下の階に通じる直通階段 |
×
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○
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(2)
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3階以上の階で物販店舗
(床面積合計>1,500m2) |
15階以上の売場に通じる直通階段 |
×
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○
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物販店舗の場合、階段の幅についても細かく規定されているので、注意されたい。
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| 5階以上の売場に通じる直通階段 |
○
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1以上
○
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| 各階の売場及び屋上広場に通じる直通階段(2以上設ける) |
○
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○
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・百貨店の屋上広場設置 |
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避難安全検証法によって安全性が確認されたとしても、施行令126条の屋上広場の設置規定は除外できません。よって、建築物の5階以上の階を百貨店の売場の用途に供する場合においては、避難の用に供することができる屋上広場を設けなければなりません。 |
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・排煙設備 |
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排煙設備については、排煙口の位置や手動開放装置の設置などに関する排煙設備として必要な規定は、避難安全検証法の中でも同様の内容が定められています。また、有効排煙量の計算法の制約から、防煙区画の面積は1500m2以内であることが条件となっています。 |
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・内装制限 |
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出火の危険性を低減することを目的とした規制については、避難安全検証法では考慮されていないため、自動車車庫等の用途に供する建築物や内装制限を受ける調理室等については、適用除外とすることはできません。
また、階段の内装についても避難安全検証法の前提条件となっているため除外できないことになっています。 |
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・非常用照明の設置 |
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施行令126条の4の非常用の照明装置の設置についても除外できないので、対象建築物の設置を要する部分には非常用照明装置を設置する必要があります。 |
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・階段の幅員・けあげ・踏面の寸法 |
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施行令23条に規定された階段の寸法関係の規定についても除外の対象とはならないので、階段の種別に応じた寸法を従来どおり確保する必要があります。 |
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・非常用バルコニーの設置 |
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施行令126条の6に規定された非常用の進入口の設置ついても除外の対象とはならないので、非常用の進入口および非常用バルコニーの設置は従来どおり必要です。 |